──貴方に伝えたかった、たった一言。

「真希！良かった～一緒のクラスで」

この子は水野　真希（みずの　まき）。私の幼い頃からの親友だ。

ほとんど小学生の時も中学生の時も今も同じクラスであることが多い。

高校も一緒で、今もずっと仲良くやっている。

「私前の席だけど、昼休みになったら絶対そっちに行くね」と笑みを見せて言って、自分の席に帰って行った。

私も荷物を一度机に下ろし、必要な物を出して鞄を机の横にかけた。

ふぅ…と一息つく。

そういえば私の隣って誰だっけ？

真希と話すのに夢中で見ていなかった。

横目でチラッと左を見る。

「…………」

私はたぶん五秒はフリーズした。

あ…さっきの人だ…。

横目で見ていたはずなのに、いつの間にかまじまじと彼を見てしまっていた。

「…なに？」と彼がおでこにしわを作って、私を睨む。

「あ…ごめん…その…」

’’貴方のことが気になっていて見ていました’’なんて言えるはずもなく、小さな声で謝った。

「…もういいよ。話しかけないで」

私の『ごめん』を彼は素っ気ない態度で返した。