──貴方に伝えたかった、たった一言。

’’一緒に行きたいから’’なんて、人生で一度も言われた事がない。

「樋目野さんといると、なんか楽しいし。今までの汚い気持ちが晴れるような気がしたんだ」

天野くんは青空を見上げながら私に言った。

「そ…そうかなぁ…」と照れながら頬をカサカサ搔いていると。

「そうだよ」と一言言ってくれた。

その一言がとてつもなく嬉しかった。

たぶん…人生で最高の時間を過ごしていると思う。 

それがただ嬉しくて、楽しい。

これが当たり前のようになって行ったら、私はもっと嬉しい。

こんな他愛もない会話をずっとしていたい。

この時間がずっと続いてほしい。

私は天野くんの隣で何度も…何度も…。

心の中でそう祈り続けた。