──貴方に伝えたかった、たった一言。

「全っ然気にしてない!今までの冷たい反応を全部許してあげる!」

天野くんは笑みを浮かべて「ありがとう」と言った。

「さっ…そろそろ行こうか。時間ないし…」と言って天野くんは歩き出す。

私は天野くんの背中を追いかけるように歩いた。

ほんとは隣で歩きたいけど…まだ出来ない。

そう思った瞬間、天野くんがこちらに振り向いた。

「何してんの樋目野さん!一緒に行こーよ!」

え?…一緒…に?

思わず私は立ち止まった天野くんの隣まで走る。

隣に来たとたん…。

「じゃ。行こっか」と天野くん改めて言って私は天野くんと一緒に歩き出す。

「な…なぜ隣なのですかね…」

驚きすぎて変な口調になってしまった。

「何その口調」と笑って言ってくれた。

天野くんは青空を見上げて呟く。

「一緒に行きたいから」

その言葉に私は言葉を失った。