──貴方に伝えたかった、たった一言。

だが…ボールはリングでバウンドし、変な方向に転がって行った。

天野くんが着地した瞬間、右膝が痛んだのかその場にしゃがんだ。

「大丈夫?」

しゃがんでいる天野くんの顔を覗くように見て言った。

「大丈夫だよ…」と言って立ち上がって転がって行ったボールの方に歩いて行く。

あ…そうだ!

「じゃあさ!チャレンジしよ!」

「は?」と勢いよく振り向き、私の方を見る。

「私ね?バスケットなんてこの前の授業でしかやってないんだけど…私がフリー何とかって言うやつを十回連続でいれたら、天野くんはもう一度バスケを始める!十回連続入れられたら奇跡だと思わない?」

「そうだな。まぁ…無理だと思うけど」と言ってベンチに座りこむ。

「よーし!」

白いブラウスの袖をまくり、ボールを持ってフリー何たらラインに立つ。

そこに立つと、ゴールがすごく遠くにある気がした。

「ねぇ!天野くん!ゴールってこんなに遠いの?!」

大声で天野くんに言うが…。

「はやくやれー」と呆れた声で言われた。

やってやろうじゃないの!

思いっきり飛び、ボールを放った。

「入れ!」

私はそう叫んだ。