──貴方に伝えたかった、たった一言。

「天野くん…」

「…なんでいんの?」

ボールを両手で持ったまま私の方に振り向いてくれた。

「ちょっと待ってて…そっち行く」

私はそう言って反対側にぐるりと回り、バスケットコートに入った。

「天野…くん…」

「なに?」

今日はちょっと声が冷たかった。

でも…話さないと…。

「その…怪我のことを…天野くんの監督さんから聞いて…」

恐る恐る天野くんの顔を見る。

ふっ…と笑い「ストーカーかよ」と吐き捨てるように天野くんは言った。

「なんで辞めちゃったの?」

天野くんに構わず、なりふり質問する。

「……関係ねぇだろ…」

天野くんの顔が少し歪んだ気がした。

「私!手伝うよ!」

「…は?」と天野くんは驚きを隠せずにいた。

「私が天野くんの光になってあげる!」

「何言ってんだ…」

そう言ってドリブルをしながらゴールに向かい、五メートルくらい離れた所から軽くジャンプし、シュートを放った。