──貴方に伝えたかった、たった一言。

六月十日。

次の日、私は放課後に私は、一目散に体育館に行った。

だが…彼の姿はなかった。

バスケ部が部活の準備をしている最中だった。

私はしょんぼりしながら校門を出た。

彼が好きそうなところ…なんて私には分からない。

しばらく歩いていると小学生くらいの子どもの大きな笑い声が聞こえて、その声の方に振り向く。

「あ…」と呟く。

公園だ。

近くにはランニングが出来るぐらい広く、そのまま海まで見に行けてしまう大きな公園だ。

野球のグラウンドやサッカーのコートなどはないが、バスケットやテニスなどの小さなコートならここの公園にある。

「もしかして…」

そんなことあるわけない…。

分かってるけど…見ずに帰って後悔するくらいなら、夕方まで探して後悔する方がずっとましだ。

私は公園に、足を踏み入れた。

夏の空の下で私は制服のまま全力で走り続ける。

バスケットコートが見えてきた。

私は一直線にバスケットコートまで走った。

「お願い…」

バスケットコートを囲むフェンスに、ガシッと掴み、中を覗く。

「あ…」

やっぱり…いた…。