──貴方に伝えたかった、たった一言。

「はい!問題ないですよ。呼んできますね」

そう言って椅子から立ち上がり、体育館の方に歩いて行った。

やった~!と心の中で叫ぶ。

天野くんの事を知ってるはず。

私はしばらくその場で監督さんを待った。

「お待たせしました。こちらの方が一昨年監督の…」

「岡野(おかの)です」

ずっしりとした声で少し怯んでしまったが、穏やかな笑顔が目に入って、悪い人ではないとすぐに判断出来た。

「それでは私はこれで」と受付の人はぺこっと礼をして持ち場に戻って言った。

「それで…話とは?」

ちょっと真剣な顔になったので、私も少し身構えてしまった。

「えっと…天野 星って言う人を知ってますか?」

知ってるはず…。

お願い…。

「……知っていますよ」

よかった~…この人は天野くんについて何か知ってるはず…。

「えっと……私は天野くんの友達…何ですけど、一昨年まではバスケをしていたと聞いているのに、高校に入って、しなくなってて…その理由が気になって来ました」

友達…のはずなんだけど…。

天野くんから見たら私はどんな風に見えてるんだろう…。

なんで中学の時はやっていたのに、高校に入ってなんで、やらなくなってしまったのだろう……。