──貴方に伝えたかった、たった一言。

「悪いこと…しちゃったかな…」

青空を見上げながら、バスケットボールクラブの体育館方面に歩く。

バスケットボール部に入っていないのに…何であんなに頑張るんだろう…。

彼のことが気になって仕方なかった。

「バン…バン…」

またボールの音だ。

ようやく着いたようだ。

看板には『バスケ体験！誰でも歓迎！』と力強い文字で書かれていた。

「体験される方ですか？」と受付の人に言われた。

「あ…えっと…体験じゃないんですけど…一昨年このチームの監督さん…みたいな人…いますか？」

一人でこういう所にくるのは全く慣れていないので変な事を言ってない事を祈る。

「はい！いますよ。何かご用がありましたか？」

「よかった～…いるんですね。えっと…お話を伺うことって出来ますかね？」