──貴方に伝えたかった、たった一言。

休み時間になり、真希を中庭のベンチに誘って事情を話す。

「天野くんについて知ってること?」

首を傾げて真希はそう口にした。

「そう!天野くんについて知ってる事をなんでもいいから教えてくれない?」

両手を合わせて目を閉じ、真希にお願いします。と手を合わせた。

「そっか~天野くんのね~」

夏の空を見上げながら真希はぼーっとした。

「あっ!そうだそうだ。一つだけあるよ」

手を合わせたまま顔を元の位置に戻し、真希はそう言った。

「ほんと!?教えて~!」

私は目を大きく開けて真希に言った。

「まぁまぁ…そんなに焦らない」

私の肩をとんとんして私の焦りを止める。

「たしかね、この近くにバスケットボールクラブみたいなのがあるんだけど…」

「うんうん…」

真剣な顔をしながら真希の話を聞く。

「一昨年の大会っぽいやつで、たまたま天野くんにそっくりな人を見たことがあるような、ないような?確か今日…体験みたいなのを午後からやるって登校中に見たんだけど…不確かな情報でごめんね?」と真希が急に謝り出した。