──貴方に伝えたかった、たった一言。

しばらく経って

「よしっ」という声が後ろ聞こえて

「書けた?」と訊く。

「うん…良いのが書けたよ」

自分のスケッチブックを眺めて天野くんは言った。

「どんな絵?見せてよ!」

そう言った瞬間天野くんは持っていたスケッチブックを、バッと引いて「やだ」とたげ言った。

「なんで?!いいじゃん!」と天野くんに言うが。

「だーめ、絶対」と否定してきた。

「いつか絶対に見せてもらうもんね」と天野くんに向かって言ったが。

「そんな日来ねーよ」と行って靴箱の方に歩き出した。

「あっ!待ってー!」と行って天野くんの隣まで走った。

好きだ───

これが恋?なのだろうか。

私はこの桜の木の下で天野くんに恋をした。

心の中でそう感じた。

ほっとひと息つく。

そう心の中で決意し、桜の木のふもとを通り過ぎ、天野くんと教室まで、一緒に帰った。