──貴方に伝えたかった、たった一言。

「だから私は、もう恋も辞めました。だって……あの海で……あの星の川の向こう側に、私の愛する人がいるから……」

私は、彼の命日には、絶対にここに来て、絵を描いて、茜空を見て、夜になったら、天体観測をするって決めているのだ。

「そっか……頑張ってね。時間は大丈夫なの?」と叶さんはお店の時計を指で指した。

「え!十時半?!急がないと!」と私は目の前にあるうどんを、ペロッと食べて荷物を持った。

「また一年後にここに来てね。次はもっと色んな話を聞かせてくれ」と叶さんは会計のところでそう言ってくれた。

「はい!絶対に!一年後にまたここに来ますね!」と言って、会計を済まして、勢いよくお店を出た。

「気をつけてね~!!」と後ろから叶さんの声が聞こえた。

「わかりました~!おやすみなさい~!」と一度振り向いて、叶さんに大きく手を振って、私はあの海辺まで、全力で走った。