──貴方に伝えたかった、たった一言。

「あぁ…今はあるけど…近々伐採されそうなんじゃ」と顎に手を当てて田野辺先生は言った。

「だめ!絶対だめ!先生お願い!絶対伐採しないで!」と私は無邪気な子供のように言った。

「分かった分かった!そこはなんとかしとくから!……そんで?見るんじゃろ?」

田野辺先生はにやりと笑って言った。

「見る見る!」と私は言って、先生の後に着いて言った。

         ♢

「桜の木……懐かしいな……」

私も彼も好きだった桜の木。

今は緑色の葉が生えているが、今度来る時は四月とかに来よう。

そういえば……この前桜の木の下で、貴方に告白しようとした夢を見たっけな……。

思いを伝える前に、彼は行ってしまった。

私はしばらく桜の木を見上げて見て、先生たちに挨拶をして高校を去った。

さっ……そろそろ時間だ。

私の……愛する人の近くへ行こう。