──貴方に伝えたかった、たった一言。

「さっきの絵を……キャンバスにも描いたの?」

キャンバスに描かれていたのは、さっきの絵と全く同じの物だった。

でも……全然違った。

さっきの絵は紙だったから、色をつけるのが難しいが、キャンバスにした途端、まるで生きているような、現実味のある、綺麗な絵に仕上がっていた。

袋に戻そうと思ったら、また手紙があった。

大きな袋から取りだして、私はゆっくり読んだ。

『茜里へ』

『やっと完成したよ』

『制作時間は五ヶ月!部活とかバスケ教えないといけなかったから、結構時間掛かっちゃった』

『この作品はいつか茜里にあげようと思う』

『まぁ…この手紙を見せたら渡そうと思ってるよ』

『喜んでくれたら嬉しいなぁ…』

『茜里。どんなことがあっても、今までの思い出が消えることはない』

『たまには思い出にすがっていいんだ』

『それでまた前を向いて走れるならね』

『茜里。辛くても前を進んで行こうな』

『星より』