──貴方に伝えたかった、たった一言。

「ボールさん…どこ行った~?」

きょろきょろしながらボールを探す。

男子の方に飛んでいって…そこから行方不明だ。

「無くなった…」

どうして?たしかこっちらへんに…。

「ボール。これ」と言いながら誰かがボールを渡してくれた。

「あっ!ありが…」

お礼をしようとした次の瞬間、私は目を丸くした。

天野くんだった。

「あ…ありが…とう」

動揺しつつも、言葉をふり絞った。

まずい…真希の方に戻るタイミングを失ってしまった。

すると突然、彼は私から見て顔の左側辺りに手を伸ばした。

「…え」と呟く。

「バチン!」と言う音が辺りに鳴り響いた。

ボールが地面にストンと落ちた。

天野くんが右手で私をボールから庇ってくれた見たいだ。

「怪我は?」と天野くんが短く言う。

「け…怪我?私は…大丈夫。天野くんは?手」

天野くんの右手を指さして言う。

「別に…何ともない」

そう言って天野くんはパス練習に戻った。

怪我…結局なかったのか…。

後ろ姿の彼を見つめながら考える。

とりあえず、真希の所に戻ろう。

私は真希の方へ足を運んだ。