──貴方に伝えたかった、たった一言。

「茜里さん。渡したい物があるの」

星の火葬が終わって全ての式が終わった時に、真由美さんがそう言ってきた。

「はい?何でしょうか?」

そう言うと、真由美さんは大きめのリュックを出してきた。

「これって……」

中を開けると、望遠鏡と絵を描くための道具もキャンバスも入っていた。

「これ……星が使ってた物。ぜひ使ってあげて」

「いいんですか……?」と顔をあげて訊く。

「私達が持っているよりも、茜里さんが持っている方が星も喜ぶよ」

どれも懐かしい……。

この望遠鏡でベガとアルタイルを見て……。

このキャンバスで二人だけの絵を描いた……。

「明日……星が今まで描いた絵もあげるわ。私達の家で錆び尽かせるよりも、茜里さんが持っている方がいいわ」

「ありがとうございます……」

このリュックも望遠鏡もキャンバスも何もかも、思い出が詰まっている。

「最後に……これ……」

真由美さんが取り出したのは、スマホと大きな袋に入ったキャンバスと紙が入ってそうな封筒をくれた。

そして……星が持ってた星のミンサー指輪……。

「それは星のスマホで、中に『茜里へ』っていう動画があったわ」

星が……私に……?

「その動画は、親の勘だと、キャンバスと封筒の何かを見た後の方が良いと思うわ」

私に残した動画……。

「気にさわるようだったら、動画の内容は言わなくてもいいわ。でも……やっぱりあの子の声が聞きたいわ」

私は深く深呼吸をした。

「ありがとうございます……絶対に動画の内容を見せますね……」

その後。私は星にもう一度、バスケの道を作った、あの海辺に行って、見ることにした。