──貴方に伝えたかった、たった一言。

「名前ぐらい知ってるよ!」と星の頬を軽く突いた。

「いてて」と言いながらブルーシートを敷いて、少し大きなキャンバスをキャンバススタンド立てて、絵の具を取り出す。

「茜里も一緒に描く?」と振り向いて訊いてきた。

「私は下手っぴだから……星の作品に泥塗っちゃうかもだし……」

「いいよ。一緒に描こうよ」と一本の筆を私に貸してくれた。

「ありがとう」と言って私は筆を受け取った。

「あの夕日と海を描くんだけど、俺が大体の構造を描くから、茜里はその上から薄くオレンジを、塗っていってくれる?」と訊いてきた。

「う……うん……頑張る……」

星が丁寧に絵を描いていく。

白いキャンバスに綺麗なオレンジと青色が広がって行く。

二十分程度でほとんど描き終わってしまったらしい。

「はい。茜里の番」と微笑んで言った。

「自信ないんだけどなぁ……」と言いながら、キャンバスの前に立つ。

私の思うように、オレンジ色を描いて行く。

「こ……こう……?」と星に描きながら訊く。

「こ……こんな感じ?」と描いて行く間に少し楽しくなってきた。

「茜里が思うように描いてみたら?」と絶えない笑顔を向けてくる。

私の思うように、キャンバスにオレンジ色を広げて行った。