──貴方に伝えたかった、たった一言。

電車を降りて真希がスマホを見た途端「みんなごめん……お母さんに呼ばれてちゃった……途中で抜けちゃってごめん……」と頭を下げた。

「用事なら仕方ないよ。またね」と星は微笑んで真希に手を振った。

走り去って行く真希に「またねー!!」と大きく手を振りながら言った。

「もうそんな時間?」と内田が呟いて、スマホを見つめる。

「やっば!母さんに怒られる!ごめん!俺も帰るわ!」と内田くんは嵐のように去って行った。

私の門限はまだ先なので、星について行く。

二人っきりか……

二人だけの時間がもっと出来たらな……

そんな思いをはせながら、私は星について行った。

         ♢

「ここだよ」と星が私達に言った。

「公園?」と私は首を傾げて言った。

星は静かに微笑み、それから何も言わずに海まで行った。

海に着いた途端、星は背中のリュックを下ろして何かを取り出した。

「これって……」

これはあれだ。

えっと……たしか……えぇっと……

「キャンバスだ」

「茜里名前知ってるんだ」と星は少しあほ面で言ってきた。