──貴方に伝えたかった、たった一言。

「別に何ともないんじゃない?」

体操服に着替えて廊下を歩いているときに、真希に話したが…あまりにも感想としておかしいと思った。

「いやだって…桜の木を見上げて目閉じてるんだよ?絶対なんかあるって」

手をふるふる振ってそう言った。

「それは茜里がそう思ってるだけで、本当のとこ、関係無かったりするんだから」

うっ…と心の中で呟く。

たしかに…言われてみれば、ただの私の妄想でしかないのかもしれない。

「う~ん…」

天野くんはクールだから、今朝やっていたことは本当になんだろう…。

謎に溢れた天野くん…もっと知りたい。

天野くんのことがもっと気になる……。

「そういえば茜里……高校一年生になって私以外の友達作った?」

作れているはずがない。

人付き合いは苦手だし、今は天野くんで頭がいっぱいだし……。

「私は今!天野くんのことで頭がいっぱいなの!」

「あらあら~、一途な乙女ね~」と言いながら、真希は私の頬をつんつんした。

一途?乙女?

よくわかんないけど私だって、やればできる女の子なんだから!

そう心の中で叫び。体育館に向かった。