──貴方に伝えたかった、たった一言。

「よし。着いた」

星に渡す用のプレゼントも昨日買って来たし、予定より十五分近く前に来て心の準備をする。

………はずだった。

「あれ?茜里!随分早いね!」

後ろから声がして、振り向くと星がいた。

まずい……心の準備が……。

「星も随分早いね!どうしたの?」

自分の声がカタコトになってないか心配で仕方なかった。

「ほとんど誰もいない駅に降り注ぐ太陽の光は、すごく綺麗だから」

星は太陽に手をかざして、太陽を眺めていた。

「茜色……綺麗だな」

ん?今なんて言った?

「星?今なんて言った?」

「え?茜色、綺麗だなって言ったけど……」

「なんだぁ……びっくりした~」

てっきり『茜里、綺麗だな』と言われたような気がしてびっくりした。

「びっくり?俺変なこと言った?」