──貴方に伝えたかった、たった一言。

「天野…くん」と小さく呟く。

彼はずっと桜の木の下で桜を見上げたまま目を閉じていた。

私は何もせず、ただ彼を見続けた。

しばらく経って天野くんは目をゆっくりと開け、桜の木から離れる。

天野くんは私に気づいて、ゆっくりと顔をこっちに向けた。

「…なに?」と吐き捨てるように天野くんは言ってきた。

相変わらず、冷たい反応だった。

私は動揺して…。

「い…いやぁ…なんでも…ない…」

最初の方は声が高かったがなぜかだんだん下がっていったのが自分でもよくわかった。

「ふ~ん…じゃ…」とだけ言って、小走りで去って行った。

私…絶対嫌われてる。

昨日改め、私はそう感じた。

桜の木で何をしてたんだろう…。

分からないモヤモヤを消したい…。

貴方のことがもっと知りたい…。

もう少しだけ桜を見て、教室に行くことにした。