「あいつはやはりあの時に殺しておくべきだった」
そんな恐ろしい言葉を聞いて、何か言わなくてはと口を開けたときだった。
「んっ」
噛みつくような激しいキスが降ってきた。
息もつけない程のその深い口づけに、強張っていた身体から徐々に力が抜けていく。何も考えられなくなっていく。
唇が一度離れたときにはもう抵抗する力も気力も残ってはいなかった。
「コハル……」
離れていた時間を埋めるかのようだった。
全身にキスを落とされて、再びしっかりと“証”を刻まれて、その度に胸が切なくなるような幸せを感じた。
恥ずかしさはどうしても拭えないけれど、愛する人に愛される喜びを感じた。
リューはそれでもちゃんとお腹の子のことを気にかけてくれているのだろう、以前より確かに優しかった。
けれどその分、しつこかった。
「リュー、もう」
「まだ、全然足りない」
一体どのくらいの時間身体を重ねていたのだろう。
とっくに夜は明けていて、皆はもう起きて仕事をしている時間にこんな行為に夢中になっていることに少しの罪悪感を覚えて。
それでも、彼を愛して、彼に愛されて、とても幸せだった。
――結局、私は気絶するように深い眠りに入ったのだった。



