ラスボスの夫に殺される悪役令嬢として転生したので、生き残ってみせる!と意気込んでいたらなぜか夫がデレ始めて戸惑っています

「久しぶりだな、キャロライン」
「オルレアン卿……お久しぶりです」
「こちらは?」
「クローク様と結婚する前に、ほんの一瞬婚約していた方です」

 キャロラインの返事に、クロークが片方の眉をピクリと上げる。

「君はずいぶんと性格が変わったらしいね。穏やかで優しく、まるで改心したかのようだと聞いたよ。それなら、今度こそ俺の婚約者にならないか?」
「「は?」」

 キャロラインとクロークは同時に疑問の声を発した。オルレアン卿はそんな二人を気にもせず、話を進める。

「レギウス卿は呪われた瞳のオッドアイ。君だって本当はそんな男と一緒なのは不服だろう。性格の変わった今の君であれば、昔の君とは違って妻にしたいと思う貴族は多いだろう。俺だってそうだ。どうせその男とは白い結婚なんだろう?早いところ離縁して、俺のところに来るといい。もちろん不自由はさせないよ」

 にっこりと詫びれもなくそういうオルレアン卿に、キャロラインは絶句してしまう。この人は、一体何を言っているのだろうか?貴族の考えることはさっぱりわからない。

「申し訳ありません。私はクローク様と離縁するつもりはありません」
「どうして?そんな無愛想で呪われた瞳をもつ男に、君を幸せにできるとは到底思えないな」
「さっきから呪われた瞳とそればかりおっしゃいますが、実際にこの瞳に何かされました?何もされていないのですよね?実際には何もないのに、古い言い伝えをそのまま鵜呑みにしてクローク様自身に問題があるかのようにおっしゃいますけど、クローク様はとても素敵な方です。私のこともとても大切にしてくださいます」

 きっと睨みつけるようにオルレアン卿を見て、キャロラインは話を進める。

「それに、ご存じないのですか?他の国ではオッドアイの瞳をもつ生き物は神聖な生き物、縁起のいい生き物として崇められているのですよ。それなのに、呪われているだの不吉だのと、バカの一つ覚えのようにそればっかり。貴族であれば、もっと見聞を広め視野も広げるべきではありませんか」

 一気にそこまで行って、キャロラインはフーッと大きく息を吐いた。オルレアン卿も周りにいる貴族たちもみんなポカンとしてキャロラインを見ている。