わたしが君に恋した話。

看板を推し(成宮くん)たちから受け取ったわたしたちは、昇降口で宣伝をしていた。

「1年1組 稲弁 やってますー!!よかったらきてください!」

「美味しいお弁当売ってますよー!」

「ぜひぜひいらしてください。」
わたしもしのもみれいも他のクラスの宣伝に負けないぐらい全力で声を張った。


時間も気にせず、全力で宣伝していたらあっという間にシフトの時間になった。
しのとみれいは時間になってしまったのでわたしより先に宣伝をやめ、有志発表のほうに行ってしまった。
クラスメイトから「変わるよ」と言われたので首掛け看板をその子たちに渡し、お弁当を販売しているところに向かった。

ついた頃にはもうのどかもきていた。

「みんな揃ったね!」

「だね!」

「わたしたちもたくさん売りまくろう!」
のどかとグータッチをして気合いをいれた。
お昼時だからかお客さんが増え、列がかなり作られていた。
「いらっしゃいませ!」

「500円になります。」

「隣の列に並び、発券を渡しお弁当を受け取ってください」

わたしたちは話している暇もないぐらいお弁当を販売した。
次のお客さんにも普通に接客していた。

「ご注文はお決まりですか?」
わたしは少しごちゃごちゃしていた発券を種類別にきれいに並べていたため下をみていたのだが、失礼だとおもい顔をあげると

「ローストビーフ丼1つください。」
え、推し(成宮くん)!?
びっくりしてしまったが冷静さを取り戻し
「500円になります」
といった。
推しと話せるせっかくのチャンスを逃したくないとおもったわたしは話しかけた。

「さっきも買ってたのにまた買ってくれるの?」
わたしがしのとみれいと宣伝して回っているときにも推し(成宮くん)がお弁当を買っているところをみたのだ。

「これ友達から頼まれたやつ。」

「え、そうなんだ!」

一緒に聞いていたさらちゃんが言った。
「えらすぎ」
わたしも同じことをおもったので、
「それな、クラスに貢献してるのほんとにえらすぎる」
とすかさず言ったら推し(成宮くん)が微笑んで
「ありがとう」
といい、お弁当を受け取って友達のところに戻っていってしまった。
わたしにとっては至福の時間だった。

それからも、シフトが終わる時間までのどかとさらちゃんと一緒にお弁当を販売していたら、
「のどか、」
後ろのほうからのどかを呼ぶ声が聞こえた。わたしとのどかが声をしたほうを振り向くと
のどかのことが好きと有名な隣のクラスのサッカー部の男子がいた。
この男子はのどかのことがほんとに大好きらしく、授業の合間にはいつものどかのことをクラスの友達と覗きにきたり、
DMで話かけたりと積極的にアピールしているらしい。
でも、正直のどかは苦手みたい。
そんなのどかは急に呼び捨てで名前を呼ばれたためびっくりしているが、その男子は構わず 
「俺のクラスきた?」
とのどかに話かけた。
のどかは普通に対応した。
「まだだけど、」

「じゃあ、終わったら俺のクラスに来てほしい。俺、待ってるから」
と言い残し、友達と戻っていった。

ものすごく積極的で見習いたいぐらいだとおもいながらのどかにいった。
「のどか、モテモテだね!待ってるだって!」

「うれしくないんだけど、」

「でも、彼、めっちゃのどかのこと大好きじゃん。」

「・・・」
とさっきの彼とのやりとりの話をしていると、シフトの終わりの時間を迎えた。