恋するリリー


「俺の元カノ、俺が行ってるダンスクールの先生で9歳年上なんだ。それで、ダンスにはしなやかな動きが必要だけど、柊司にはまだそれが足りないって言われてた。それで、、、付き合い始めてから、初めてそうなった時に、下手だって言われた。男として、、、情けないよな。」

わたしは、そう言って落ち込む柊司くんのそばに寄り、柊司くんの手を握り締めた。

「セックスって、愛し合う為の行為であって、上手いとか下手とか関係ないと思う。お互い好きだから、"したい"って思う、、、素敵な愛情表情の一つだと、わたしは思うよ?」
「恵麻、、、。」
「ねぇ、柊司くん。今日泊まって行ってもいい?」
「えっ?」
「無理にする必要はない。わたしはただ、柊司くんのそばに居たいだけ。」

わたしがそう言うと、柊司くんは切なげに微笑み、頷くと「俺も、恵麻と一緒に居たい。」と言い、「一緒に寝るか!」と悲しげな雰囲気を切り替えるように明るく言って見せた。

「シングルベッドだから、2人だと狭いなぁ。」
「いいじゃん?狭い方がくっついて寝られるもん。」
「そうだな!」

わたしたちはそう言って笑い合うと、二次会を再開し、夜が更けてからわたしは柊司くんの服を借りて着替え、狭いシングルベッドで2人寄り添って眠りに就いた。

柊司くんの腕の中は、温かかった。