そっと唇を離し、鼻が触れるくらいの距離でお互いを見つめ合い、照れ笑いするわたしたち。
「嫌じゃなかった?」
柊司くんがちょっと不安気に訊くので、わたしは「嫌じゃないよ。」と答えた。
柊司くんはわたしの言葉に微笑むと、わたしの頬に触れ、再び唇を重ね、短いキスをして、それから唇に吸い付くような長く深いキスに変わっていく。
そして、柊司くんはわたしを軽々と抱きかかえると、ベッドに寝かせ、わたしの上に覆いかぶさり、首筋にキスを繰り返しながら、わたしのスカートをめくり、太ももに手を触れた。
すると、急に柊司くんが我に返ったように顔を上げ、ハッとしたような表情をした。
それから悲しげなような表情を浮かべ、「ごめん。」と謝ったのだ。
「何で謝るの?」
わたしがそう訊くと、柊司くんはわたしの上から離れ、壁に背をつけベッドの上に座り込んだ。
「どうしたの?」
「いや、、、ごめん。俺、ダメなんだ。」
「え?何が?」
わたしの言葉に柊司くんは黙り込んだ後、顔を伏せ、小さな声でこう言った。
「俺、、、下手なんだ、セックス。」
思いも寄らない柊司くんの言葉にわたしは掛ける言葉が見つからなかった。
柊司くんは情けないとでも言うように鼻で笑うと、「元カノに言われたんだ。柊司はセックスが下手だから、ダンスも上手くなれないんだって。その言葉がトラウマになって、元カノとはレスになって、、、すれ違ってばかりで別れた。」と話した。



