結婚式が終わると、柊司くんは当時のバイト仲間たちに囲まれていた。

柊司くん人気あったもんなぁ。

「これから二次会あるんだけど、柊司くん来るでしょ〜?」

美奈ちゃんにそう言われ、柊司くんは「いやぁ〜」と曖昧に答えていた。

「恵麻ちゃんは?二次会来れる?」
「わたしはちょっと用事があって。」
「そっかぁ、残念。」

本当は用事なんてない。

そうゆう盛り上がる場が苦手で、自分が孤立してしまうのが分かっていたから、あえて「用事がある」ことにしたのだ。

「いや、俺も二次会はちょっと〜。」

柊司くんがそう言うと、周りの先輩たちは「何言ってんの!柊司くんは来なきゃダメでしょ!」と半分強引に参加決定になっていた。

「じゃあ、わたしは先に失礼します。」

わたしがそう言うと、みんな「気を付けて帰ってね!」と言う中、柊司くんだけは少し切なげな表情でこちらを見ていた。

柊司くんともう少し話したかったなぁ。

そう思いながら、わたしは帰宅する為に駅に向かっていた。

すると、後ろから「恵麻!」とわたしを呼ぶ声が聞こえた。

えっ?

その声にわたしは振り返った。

そこには、こっちに向かって走って来る柊司くんの姿があった。