柊司くんとは、家の前でしばらくのお別れを告げることになった。
なぜか勝ち誇ったような表情の美香さんがタクシーで柊司くんを迎えに来た為、ここでのお見送りになってしまったのだ。
「恵麻、、、行ってきます。」
「、、、いってらっしゃい。」
そう言葉を交わし、わたしたちは強く抱きしめ合った。
柊司くんが美香さんの待つタクシーに乗り込み、行ってしまったあと、わたしはしばらくその場に座り込み、1人で泣き続けた。
何年後に会えるか分からない。
いつまで待てばいいのか分からない不安。
遠くても会いに行けばいいのかもしれないけど、そうなれば、また離れなければならない時の寂しさを考えるとツラくて堪らなかった。
でも、わたしはもう決めていた。
何年後になったとしても、柊司くんの帰りを待つ。
そう、心に誓った。
あれから、3年の月日が経った。
わたしはあの時と変わらず、同じ会社で同じ生活を続けていた。
ただ違うのは、柊司くんが居ないということだけ。
そしてある日、仕事が終わり会社を出て、バス停の方向へ向かって歩こうとしていた。
「恵麻!」
その声に、わたしはハッとした。
そして声のする方へ振り返った。
そこには、ずっと会いたかった、、、会いたくてたまらなかった柊司くんの姿があった。
柊司くんはわたしに向かって両手を開き、わたしはその胸に飛び込むように走って行った。
周りの目なんて気にならない。
わたしたちは映画のワンシーンのように抱きしめ合い、クルッと一周すると、お互いの存在を確かめ合うように見つめ合い、そして夕日を背景にキスを交わしたのだった。
―END―



