恋するリリー


そして、柊司くんがカナダへ行ってしまう前日。

柊司くんは大きなキャリーケースに荷物を詰め込んでいた。

そんな姿を見ていて、本当に柊司くんは明日カナダへ行ってしまうんだ、、、と実感させられてしまう。

わたしはキャリーケースに荷物を詰める柊司くんを後ろから抱きしめた。

「恵麻?」
「、、、本当に行っちゃうんだ。」

柊司くんはわたしの方を振り向くと、向かい合って抱きしめ返してくれた。

「、、、恵麻?」
「なに?」
「俺は、いつ帰って来られるか分からない。だから、もし、、、それまでに良い人が見つかったら」
「それ以上言わないで。」

わたしが柊司くんの言葉を遮りそう言うと、柊司くんは「ごめん。」と謝った。

「わたしは、、、ずっと待ってるから。でも、、、正直、、、不安。」
「それは俺も同じだよ。恵麻と離れるのは、、、不安だ。」
「でもね、不安だけど、、、ずっと柊司くんを想い続けていられる自信はある。」
「それ、俺も。」

そう言って、わたしたちは笑い合い、キスをした。

そしてその夜は、言うまでもなく深く愛し合った。

明日から柊司くんに触れられなくなる、、、

そう思うと、いつも以上に柊司くんを求めてしまい、もっと、もっと、、、と柊司くんを離したくなくて、涙を流しながら何度も身体を重ね合い、朝を迎えたのだった。