「あ、恵麻?」
久しぶりに聞く声にふと顔を上げる。
そこには、ギリギリの時間に到着したスーツ姿の柊司くんの姿があった。
「久しぶりだなぁ!」
「久しぶり!」
そう言って、柊司くんはわたしの隣の席につく。
柊司くんは、あの頃と何も変わっていなかった。
何も変わっていない事が更に、あの頃の気持ちを蘇らせる。
そして結婚式は始まり、挨拶があったり、乾杯があったり、料理が運ばれてきたりした。
すると、料理の中にお寿司があり、わたしは海老と帆立が苦手で食べられなかった。
「柊司くん、海老と帆立いらない?」
「え?食べないの?」
「わたし、苦手でさ。」
「それなら、俺食べるよ。」
そう言って、わたしのお皿から海老と帆立のお寿司を取り、食べてくれる柊司くん。
わたしの中で柊司くんは好き嫌いがなく、いつも「腹減った〜。」と言っていた印象が残っていた。
だからと言って別に太っているわけでもなく、どちらかというと背が高くてスラッとしている。
だから、今日着ているスーツもとても似合っていた。



