すると、「ただいまぁ。」とドアが開く音と共に柊司くんの声が後ろから聞こえた。
柊司くんは床に座り込むわたしを見ると「恵麻?!大丈夫?!」と言い、駆け寄って来た。
そして、わたしが泣いている事に気付き、驚いていた。
「どうした?何かあったの?」
「柊司くん、、、」
「ん?」
「来月、、、カナダに行っちゃうって、本当、、、?」
わたしの言葉に柊司くんは目を見開くと、「もしかして、、、美香から聞いたの?」と言った。
わたしがそれに頷くと、柊司くんは溜め息をつき、わたしを抱きしめると「ごめん、、、。」と言った。
「何で、教えてくれなかったの?」
「言おうと思ったよ、、、何度も。でも、今の恵麻との時間が幸せすぎて、、、言葉にするのが怖くて、、、」
「でも、、、こんな大事な話、、、柊司くんから直接聞きたかったよ、、、。」
「そうだよなぁ、、、ごめん、恵麻、、、ごめん、、、。」
わたしは柊司くんにしがみついて泣いた。
柊司くんも身体を震わせ、涙を堪えているのが分かった。
わたしたちの時間は、あと1ヵ月しかない、、、
ずっと一緒に居られると思ったのに、、、
しかも、留学先のカナダには、美香さんに付き添われて行くだなんて、、、
柊司くんがまた、美香さんに気持ちが戻ってしまったら、どうしよう。
わたしの心の中は、不安だらけだった。



