恋するリリー


「ここは、柊司の家よ?」
「え、はい、、、分かってますけど。」
「あなた、これ不法侵入よ?」
「いえ、合鍵をもらってて、自由に入っていいって許可はもらってるので。」

わたしがそう言うと、その女性は驚いた表情を浮かべ「合鍵?!わたしには渡さなかったくせに、、、」と呟いた。

この人、もしかして、、、9歳年上の柊司くんの元カノ?

小柄で細いけど、美人でわたしよりは年上の雰囲気がある。

すると、玄関先に立つ女性の後ろに柊司くんが姿を現し、「美香?!何してんだよ。」と驚いていた。

「柊司、この子、、、誰なの?」
「美香には関係ないだろ。もう俺たち別れたんだから。」
「こんなすぐに女作るなんて、浮気してたの?」
「ちげーよ!とにかく、外に出てくれ。」

そう言って、柊司くんは"美香"と呼ぶ女性の腕を引き、外に連れ出しドアを閉めた。

玄関の外では、2人が何かモメている声が聞こえてきた。

わたし、、、帰った方がいいかなぁ。

そう思いながらも、わたしはご飯の準備をしてから帰ろうと思い、肉野菜炒めと味噌汁を作っていた。

そうしている内に柊司くんだけが家の中に入って来て、何だか疲れたような表情をして、溜め息をついた。

「恵麻、ごめんな。」
「ううん、柊司くんの方こそ大丈夫?」
「まぁ、何とか。」
「、、、元カノさん?」

わたしがそう訊くと、柊司くんは苦笑いをして頷き、わたしを抱きしめた。