それからわたしたちは、時間が合えば時間が許す限り一緒に過ごした。
柊司くんが休みの日は車でわたしを会社まで迎えに来てくれて、柊司くんの家で一緒にご飯を作って食べたり、わたしが休みの日は、柊司くんが帰宅する時間を見計らって柊司くんの家の前で待っていたり、とにかく今までお互いを忘れられなかった空白の時間を埋めていくように、わたしたちは同じ時間を共有していった。
すると、ある日。
「はい、これ。」
「えっ?」
「俺んちの鍵。いつも家の前で待たせるのは申し訳ないから。」
そう言って、柊司くんはわたしに自宅の合鍵を差し出したのだ。
「いいの?」
「うん、恵麻にだから渡せる。自由に使って?」
嬉しかった。
わたし、信用してもらえてるんだって。
合鍵を貰ってからは、わたしは先に柊司くんの自宅に入り、ご飯を作りながら柊司くんの帰りを待つこともあった。
その日も買い物をしてから柊司くんの家に向かい、合鍵を使って先に自宅に上がらせてもらって、夜ご飯の支度をしようとしていた。
すると、玄関のドアが開いた音が聞こえ、柊司くんが帰って来たと思ったわたしは、「おかえり!」と言いながら、ふと玄関の方を向いた。
しかし、玄関先に立っていたのは柊司くんではなく、黒髪をポニーテールにした綺麗な女の人だった。
「あなた、誰?」
玄関先に立つその女性は、わたしを見て怪訝そうな表情を浮かべ言う。
え、あなたこそ、、、誰?



