眠い…。
私・渡邊楓は、教室であくびをかみ殺していた。
教室といっても、本日初めて入った教室。そう、私は今日から高校生だ。
周りの生徒達は、もうすでに友達を作って話していたり、中学校で仲の良かった友達と話していたりしていた。
ただ、私はそんなコミュニケーション能力は持ち合わせていないし、中学校から友達と過ごした記憶などほとんどない。なので私は自分の席でただただぼーっとしていた。
新しい担任の人が来た。若い男の先生だ。
やっと放課後になり、私は部活動体験へ行った。
とりあえず、中学校でやっていた吹奏楽部に体験に行ってみた。
あまり入る気はない。

とあるトラウマが頭の中にまだ残っているから…。

入る気はない。そう思っていたのに、私の目の前には、バスクラリネットがある…。
あの後、先輩たちに自分がやっていた楽器の名前を告げると、先輩たちの目の色が変わった。
「バスクラリネット!?やった!!これで演奏が安定される!」
なぜか先輩たちが凄く喜びだした。
なぜそこまで喜ぶのか?なぜ私が入ると決まったようになっているのか?
どうする?