「遅くなってごめんなさい。前の仕事が長引いてしまって。」 「いえ。こちらこそお忙しい中、ご足労頂きありがとうございます。」 環はソファから立ち上がり、大きくお辞儀をした。 「いえ。新進気悦『ring』の葉山社長の頼みじゃ断れないもの。」 みやびはソファに座ると、形良い足を組み、妖艶に微笑んだ。 葉山は口元だけで小さく微笑み、話の流れは環にまかせると言ったように押し黙っていた。