環と頼子は雰囲気の良い老舗うどん屋へ入った。 凍えそうな外気から、温かい店内の温度変化に身体が緩んだ。 環はきつねうどん、頼子はカレーうどんを頼んだ。 熱いお茶が入った湯飲みに口をつけた環に、頼子は陽気に言った。 「環・・・なんだか綺麗になったね。何かあった?」 環の心にふと葉山の顔が浮かび、すぐにそれを打ち消した。 「ううん。何もないよ。」 「ほんとお?」 なおも言い募る頼子に、環は肩をすくめてみせた。 「本当だよ?」