しかし葉山はすぐに真面目な顔に戻り、環の表情を伺うように問いかけた。
「太一君という家族を亡くされて、家計は半分になってしまうのではないですか?この先やっていけそうですか?」
「・・・・・・。」
考えないようにしてきたことを葉山に指摘され、環の心が暗く沈んだ。
生活費の半分以上を、インテリアの輸入ショップで働く太一の収入でまかなっていた。
太一亡きこの先、家賃や生活費諸々を自分ひとりの収入で生活していけるのか・・・それが環の大きな不安となっていた。
「失礼なことをお聞きして申し訳ありません。お節介だとは思うのですが、環さんのこれからが心配になってしまいました。」
葉山に心配されてしまったことが恥ずべきことのように思え、環は無理に微笑んで見せた。



