「どっちが悪いとかそういうことではなく・・・なぜそういう状況になったのか知りたかっただけです。」
寺島夫人は急に立ち上がると席を外し、しばらくしてまた環の前のソファに座った。
そして一枚の名刺を差し出した。
そこには「ビューティーアドバイザー豊洲みやび」と印刷されていた。
「この方は・・・?」
「勇次の元婚約者。話を聞きたいなら彼女にして。それからもう二度と私の目の前に現れないで頂戴。」
それだけ言い放つと、寺島夫人は席を立ち二度と戻っては来なかった。
「お帰りくださいと奥様が。」
メイドにそう告げられ、環と葉山は仕方なく邸宅を出た。



