「あの事故のこと、何か事情を知っていませんでしょうか?なんでもいいんです。」
「ふん。勇次からアルコールが検出されたことを責めたいっていうわけ?」
「いえ。決してそんなつもりは・・・。ただどうしてそんな状況になったのか少しでも知りたくて・・・お願いします。」
すると寺島夫人は冷たく微笑んだ。
「要するに金、でしょ?」
「え・・・?」
「勇次があの事故を起こした原因なのだから、金を差し出せって言いにきたわけね?そういうことでしょ?」
「いえ!違います。」
「いくらでも払うわよ!いくらよ?いくら欲しいのよ?・・・そんなに金が欲しいなら、あんたの隣に座っているその男をたぶらかして貢いでもらえばいいじゃない!」
「お金なんていりません!」
環はおもわずそう叫んだ。



