「お言葉ですが。」
葉山が厳しい口調で、その場の空気を変えた。
「それは稲沢君も同じなのではないですか?寺島君と出会ったことで稲沢君の人生も変わった。それはお互い様の筈です。ましてやここにいる稲沢君の妹、環さんに責任など全くありません。環さんを貶めるようなことは慎んで頂きたい。」
鋼のような葉山の声に、寺島夫人は一瞬気圧されたように黙り込んだ。
しかしその後すぐに苦いものを吐き出すように言った。
「なによ偉そうに・・・。何も知らない癖に。部外者は口を出さないでよ。」
険悪な空気の中、環は思い切って本題を口にした。



