花言葉はピュア ー敏腕社長は百合のような彼女を守り抜くー


朝食が終わり、食器を片付けると、アパートの外へ出た。

誰に頼まれたわけでもないけれど、毎朝アパートの周囲を掃除するのが、環の日課となっていた。

その日は燃えるゴミの収集日だった。

環はゴミ出しをした後、いつものように郵便ポストを確認した。

そこには数枚のチラシと一緒に白い封筒が入っていた。

封筒には宛名も差出人の名前も書かれていない。

妙な胸騒ぎを抑えながら、環は丁寧にハサミで封を切った。

中には一枚の便せんが入っていた。

そしてそこにはパソコンで印字されたであろうゴシック体の黒い文字が書かれていた。

「テラシマケ二ハ イクナ」

便せんの中央に、たったその一行だけが並んでいる。

環はその不気味さに、思わず便せんから手を離し、その薄い紙は床へひらりと落ちた。