葉山からディナーに誘われた環は、待ち合わせ場所である駅の近くのオブジェの前で、波打つ心を鎮めながら立っていた。 散々迷って選んだ服は、結局無難な白いボウタイブラウスに黒い格子柄のツーピース。 それは細身な環の身体に似合っていた。 この場に来ても環は逡巡していた。 もっと強く断るべきだったのではないか、と。