「稲沢さん。ちょっといいですか。」
環はスタッフルームに入っていく葉山のあとを追った。
葉山は環と向き合うと、開口一番に言った。
「水城さんは貴女にいつもああなんですか?」
葉山に説教されることを覚悟していた環は拍子抜けした。
「いえ・・・いつもというわけではないですけど・・・」
「水城さんをこのエリアのマネージャーから外します。」
「そんなことしなくていいです。」
環は葉山を見ながら首を横に振った。
「なぜ?」
「私なら大丈夫です。私を贔屓しているなんて噂が立ったら、葉山社長の立場が悪くなります。」
「これは貴女だけの問題ではありません。現に他のスタッフも水城さんに対して萎縮している。」
「・・・・・・。」



