「ひどく熱い真夏のことだった。俺がまだ小学生の頃、夜中にキッチンへ水を飲みに行ったんだ。コップを持って水を口に含んだそのとき、後ろから生暖かい風が俺の身体を包み込んだ。そして次の日の朝・・・母方の祖母が亡くなったという知らせが入ったんだ。ばあちゃんには可愛がってもらったから、きっと最後の挨拶に来てくれたんだと思う。」
沈痛な面持ちで話す葉山に、環は励ますように言った。
「いい話じゃない。全然怖くなかったでしょ?」
「いや・・・また同じようなことが起きて、大切な人がいなくなってしまうかと思うのが怖いんだ。」
「そっか・・・。そうだったのね。」
環は穏やかにそう話す葉山の横顔を切なげにみつめた。



