花言葉はピュア ー敏腕社長は百合のような彼女を守り抜くー


「そうだ。その時の環の写真、見る?他の友達が環の晴れ姿を送ってきてくれたんだ。」

「え?・・・ああ・・・」

俺はためらいがちに、結城友恵のスマホを覗き込んだ。

そこには・・・ブルーの生地に白い花の模様があしらわれた浴衣姿の稲沢環が、真剣な表情で歌っているであろう写真が写っていた。

そして無事歌い終わった後の、可憐な笑顔の写真も・・・

「な、なんで、浴衣・・・?」

「あれ?言ってなかったっけ?ウチの高校、合唱コンクールの時は制服以外で着る服を揃えてもいいってルールがあってね。うちらのクラスは浴衣で揃えたみたい。・・・って斎君?」

可愛い・・・可愛い過ぎる・・・

この子と浴衣デートしてみたい・・・

俺は煩悩で緩んだ表情を隠す為に、顔を右手で覆い、結城友恵に背を向けた。