花言葉はピュア ー敏腕社長は百合のような彼女を守り抜くー


環はその日のことを思い出した。

その日の友恵はとても沈んでいた。

けれど環の持ってきた花を見て、微笑んだのだ。

帰りに環が休憩室で休んでいると、とても暗い目をした青年が空を見上げていた。

その姿に胸を締め付けられた環は、お節介とは思いながらも話しかけ、カーネーションとかすみ草の花束を差し出した。

彼を少しでも笑顔にしたい、そう思ったのだ。

環は言った。

「・・・そういうことがあったのは憶えています。その青年は私が花を渡すと、優しく微笑んでくれました。私もその笑顔に救われたんです。どうして私、貴方の顔を忘れてしまっていたのかな・・・自分が情けないです。」

「あの頃の俺はいまとは比べものにならないほどやつれていた。頬はこけていたし、身体も棒のように細かった。環さんが思い出せなかったのも不思議じゃない。」

そう言い、葉山はフッと微笑んだ。