「葉山・・・さん?」 環のか細い声に、葉山は環を抱く力をいっそう強めた。 環は自分から身体の向きを変え、葉山の胸に飛び込み、その名を呼んだ。 「葉山さん!」 「貴女は酷い人だ。俺に黙って消えてしまうんだからな。」 「ごめんなさい。私・・・・。」 「環さんは俺の初恋の女性です。いや、今も最愛の人だ。」 「え・・・?」 「環さんは憶えていないかもしれないが、俺は貴女に人生を救われたんです。」 「・・・そうなんですか?」 葉山は潤んだ環の瞳を強くみつめ、話し始めた。