どれくらい友恵の墓の前で蹲(うずくま)っていたか、環には分からなかった。 今の出来事はなに? でも・・・夢じゃない。 友恵の残像は環の瞳にくっきりと焼き付いている。 呆然としながら帰ろうと立ち上がった瞬間、後ろから誰かに抱きすくめられた。 それは温かい体温で、環の冷えた身体を優しく包み込んだ。 そして忘れたことのない低い声が環の耳元で囁かれた。 「1年だけ待ちました。環さんの俺への気持ちが完全に花開くまで・・・。でももう待てない。」 それはまぎれもない葉山斎の声だった。