その日、環が友恵の墓に行くと、友恵の母加奈子がお参りをしていた。

加奈子はやはり目を細め、環に頭を下げた。

「環ちゃん、今年も来てくれたのね。いつもありがとう。」

「いえ。私は今でも友恵との思い出に支えられて生きていますから。」

加奈子は環の両手を握り強く言った。

「でもね、環ちゃん。環ちゃんは友恵の分まで幸せになるのよ。」

「・・・はい。」

「ありがとう。また家に遊びに来てね。」

「はい。」

「じゃあ、またね。」

加奈子が去り、環は持ってきた百合とかすみ草の花束を供えしゃがみこむと、手を合わせ目を(つむ)った。

「友恵・・・私は元気だよ。またどこかで会おうね・・・」