「お兄さんの件は、もう環さんの中で解決したんですね?」
葉山に問われ、環はハッとした。
兄太一と寺島勇次の事故の真相を知る為に、あれほど葉山に尽力してもらったのに、なにも報告していない。
「葉山さん・・・兄と寺島さんは・・・」
そこでどう伝えたらいいのか、適切な言葉がみつからない。
口ごもる環に、葉山は何もかも承知しているというように告げた。
「環さん。俺は環さんがあの事故について納得したなら、それでいいんです。俺はなにも詮索しません。環さんの心の内に秘めておけばいい。」
「葉山さん・・・。」
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