「もしもし。葉山です。」 葉山の低く柔らかい声がスマホ越しに環の耳に届いた。 「もしもし」 泣きそうになる気持ちを抑え、環は震える声でスマホを握りしめた。 「夜分遅くに申し訳ない。もう寝ていましたか?」 「いえ。まだ起きていました。」 「そうですか。良かった。」 葉山は安心したのか、息を吐く音が聞こえた。 「急に環さんの声が聞きたくなりました。なんだか胸騒ぎがして・・・俺の我が儘を許してください。」 「そんな・・・我が儘なんて思いません。」